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「ん、もう…大丈夫。」
「…ああ。」
疾風が私の体から手を離し、さっきまでの行動を恥ずかしがるように頭を掻く。
私はさっきまで意識してなかったが、改めて考えてみると、朝に上半身裸で休み中はずっと家でゴロゴロしてるアホな兄に抱き締められたのだ。
耐え難い屈辱だが、今回は許してあげよう。何より疾風にそんな気はなく、ただ妹を慰めただけだから…。
「あ、けど勝手に私の部屋に入ってきたのは最低!!女の子の部屋は王子様しか入っちゃいけないんだから!!」
「お前……小学生かよ。」
「いいからもう出てって!」
私は疾風を足蹴にして、部屋から追い出す。さっきまでひどく悲しんでいたのに、今では疾風のおかげで気丈に振る舞えている。
「……それには感謝しとこ。それだけには!」
私は自分に言い聞かせるように部屋でぶつぶつと独り言を呟いていた。
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