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「……まず、前のおれの最期について。おれは沙那、華紅羅と合流して白が死んだ後……すぐに死んだ。」
「……え?」
神楽と沙那は目を伏せた。
忍は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
乾いた唇を震わせて、俺は掠れた声を出す。
「な、……んで……」
薊姫は表情を変えずに淡々と喋る。
「当然……と言えば当然だろう。戦闘員である白は死に、忍は外に出ていた。沙那はある程度は殺れるが、お前達のように大人数を相手に戦える訳じゃ無かったし、華紅羅に至っては非戦闘員だ。まぁ、抗えない死だった、と言うより他ないな」
「そんな……」
俺はとてつもない虚脱感に襲われ、膝から崩れ落ちそうになる。
俺が、前の俺が必死に守ってきた者が、俺の死と共に崩れていた。
その事実だけで、頭の中が真っ白になっていた。
沙那が俺に教えてくれなかった意味を理解し、絶望した。
俺の
俺のせいで
薊姫は
「……っ」
その絶望感を一気に打ち払ったのは、薊姫の声だった。
「ま、そんな事はどうでもいいんだ。話はそれじゃ無い」
沙那と神楽はぱっと顔を上げ、忍は眉を潜め、俺は固まった。
薊姫は教室にいる全員の顔を見渡し、口を開いた。
「バンドやろうぜ」
「……は?」
教室の空気が一瞬で凍りついた瞬間であった。
呆けた声を出した俺は固まり、沙那はぽかんと口を開け、神楽は首を傾げている。
忍は頭を抱えている。
そんな俺達の様子に薊姫は目を細めた。
そして物語は冒頭に戻るのであった。
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