第1章

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「……ねぇ、白」 「何ですか」 「……外に出た「駄目です」……けち」 「けちで結構。外は今混戦中ですよ、貴方の身に危険が及んでは……」 「……及んでは?」 「俺が首を斬られます」 「……馬鹿」 「馬鹿で結構」 「……」 「……」 二人は、幸せだった。 「……ふふっ」 「……ふん」 お互いがいれば、それで充分だった。 「……ねぇ」 「何ですか」 「……白は、私の事どう思ってる?」 「俺の主であり、俺が足をしているひとです」 二人でいることが、何よりの幸せだった。 「……そう。」 「……」 「……もし、生まれ変わって、身分も同じで私がちゃんと足が動くひとになっていたら、その時は……」 「……その時は?」 「……なんでもないわ」 「……」 「……んっ!?」 「言いたい事はちゃんと言え、馬鹿」 「ふ、不意打ちなんて卑怯よ……」 「お褒めの言葉をありがとう」 「……もう……」 「……真っ赤だぞ、顔」 「だ、誰のせいだと思ってるのよ!!」 「へぇ?誰が何をしたんだ?ちょっと教えてくれよ」 「……だ、だから、私に貴方が……せ、せっぷ……っ」 「……ぷっ」 「わ、笑うこと無いじゃない!!!」 「わ、悪い悪い」 「……ねぇ、白」 「なんだよ」 「……生まれ変わったら、私と添い遂げてくれる?」 「…当たり前だ、馬鹿。 お前はこれからもこの先も、俺のものだからな」 「……うん」 あの頃は、幸せだった。
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