一回目 ヤンキーとぼっちさん

3/6
前へ
/8ページ
次へ
暫く友人と眺めていると、やっとガラリと何度か引っかかりながら引き戸が開かれる。 そして、そこには黒色のスーツを着用した女性が立っていた。 先程とは裏腹に、めっちゃキレてる。 数秒間の間に一体何があったんですか! 女性がしちゃいけない表情をしていますよ! やっぱり年齢的な焦りですか! 卒業まで待って下さい! と、心の中で教師である幸子ちゃんにエールを贈る。 幸子さん、君に届け! なんて、ふざけていると、空気を読まない事に定評のある友人が口を開いた。 「せんせーめっちゃキレてるやん、どないしたん?やっぱり年齢的な焦り?」 「黙れ、ぶっ潰すぞ安藤」 ナイス安藤! ナイス違う。 ほらー安藤、空気を読まないでそんな発言するから、幸子ちゃんの怒りのボルテージが急上昇したじゃん。 「そんなことより、テメェだよ」 瞳孔めっちゃ開いとる。 これでもかってくらい開いとる。 「おい、私はあまり力使うなと、そう約束したはずだ」 こちらを見据えながら、俺に近づいてくる彼女は怒りが限界突破したのか、半笑い。 「にもかかわらず、貴様は暴れたな? 賢介」 うるせぇ、なんか窓開いてて寒いんだよ。 それどころじゃねーんだよ。 つかなんで安藤平気なんだよ、俺、寒い平気なんだよ、オス! みたいな面じゃねーだろ。 私ー、甘いの好きなんですぅー、みたいなアホ丸出しの面だろ、ふざけんな。 「寒い」 安藤は一言呟いた後、ゆっくりと窓を閉め、白色のカーテンをシャーした。 そして、自分の席に戻り、俺を一瞥した後、スマホに視線を向け出す。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加