第3話

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. 朝ご飯に2人でサンドイッチを食べて、少し休んでから、スーパーに出かけた。 純が好きな食材をいっぱい買い込んで、お昼どころか夕飯まで作れそうな具合だ。 「なぁなぁ、夜、肉にしようぜ!」 と、俺がいつもスーパーで買う肉より高級そうな真っ赤なお肉の入ったパックを手に取り、純はこちらに見せつけてくる。つまり焼けっ!と言うのだ。 「うん」 と笑いかけると、じゃあ肉に合うシャンパンも…と純は小走りに移動する。「少しくらいなら大丈夫だよな…」と付け加えて。 「うん」 とまた笑いかけると、純の姿が見えなくなった。 あぁ、そっか。 こんな風に普通の人みたいに生活出来るんだ、と、ふと我にかえる。 昨日は絶望しかなくて、どうしたらいいのか分からなかったけど、いまはこうやって普通にスーパーに来て、買い物をしている。 まだふわふわと雲の上を歩いているような感じだったけれど、何だか日常に戻ったような気分がした。 それはきっと、純が今までと変わらず、普通に接していてくれているからだ。 本当に感謝しかない。 ・
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