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「やったこん! ようやく動きを封じたこん!!」
狐が嬉しそうに叫びます。
しかし、巫女はまだまだ油断ならないといった表情をしておりました。
「コン、喜ぶのはまだ早いじゃろ。わしが言霊を唱える間、主は結界を壊されないよう鬼の動きを止めてくれ」
「了解だこん!!」
巫女の言葉に答えました狐。その周りにうっすらと、紫色に輝く幾何学模様の陣が三個、陽炎のように浮かび上がってきました。
「喰らえこん!!」
狐が吠えると、陣ははっきりとした形を成しまして。
そこから小さな稲妻が、大きさに似合わぬ稲妻音を轟かせながら、鬼に向かって溢れ出てきました。
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
稲妻を喰らった鬼は、堪らないとばかりに叫び出しました。
その様子を冷たい目のまま見ております巫女は、小袖の垂袖をごそごそと漁ると、一枚の紙を取り出しました。
五芒星と、ミミズがのたうち回ったような字が描かれております、その紙の名は呪符。
彼女は中指と人差し指でその呪符を挟み掴みますと、額の前に持っていき、目を堅く閉じました。
そのままぶつぶつと、何やら呪文のようなものを呟いております。
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