一。

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「あなたは?」 「私は君だ。しばらく君の中で大人しくしている、な」  翁はすりごまで何かを擦っているようでした。  ごりごりごりごりごりごりごり。  一心不乱に擦っておりました。    行きはよいよい     帰りはこわい 「どういうことですか?」  翁は特に答えませんでした。  ただただ何かを擦っていました。  二人の間を、静寂の代わりに歌が流れていました。      こわいながらも
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