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机の上には参考書やノートが散らばっているが、その中にあるゲーム情報誌をつまみ自分の膝へと乗せ、とあるゲーム情報のページを開く。
自分で言うのもなんだが、俺はそこそこ勉学はできる。
高校の時は上の下くらいの成績だった。やればできる子。そんな風に周りからは言われていた。
だからなのか、たいしてなりたいわけでもない獣医なんて第一志望にして、あえなく撃沈。
そのあとから自分の進路に向き合い始めた。そんな時、祖父が自分の会社を勧めてくれたのだ。
正直な話、そんな楽な事をしてもいいのかと感じた。でもそこまで勉強が好きではなかった俺はその話を飲むことにした。
だから今俺はその為の勉強をしつつ、大好きなウォーシュミレーションゲームをしている。
ゲームをするこが甘いということも分かっている。だが今日、この時、好きなゲームの新作が発売したとしたら我慢できるだろうか?いや、できない!
「という訳で、今日も領土広げちゃいますか。」
俺は食べ終えた弁当をゴミ箱に捨て、ハードウェア機の電源を付ける。
テレビに映し出されたこのゲームは一昨日発売されたばかりの新作だ。
俺はこのウォーシュミレーションゲームをこよなく愛し、有名どころからマイナーな物までこなしてきた。
だがこの新作はそのどれもを上回る出来だった。
この手のゲームは普通指揮官であるプレイヤーの指示に従って動いたり、キャラクターを育成、強化していくのが一般的で、兵一人一人が単独で行動することはない。
だがこのゲームは隊の隊長であるキャラクターがその場に応じて、プレイヤーの指示以外の事をすることがある。
後から話を聞くと、戦況を見てこの判断が正しいと思ったと言うのだ。
その判断が成功すればキャラクターのパラメーターが上昇したり信頼度が上がったりする。逆に失敗すると、自分から隊を外して欲しいなど言うこともある。
そこでどうするかはプレイヤーの仕事だ。
キャラクターの性格がプライドの高いキャラならば、外すと一から出直してくると言って、後に強力になって戻ってくることもある。
また、一定ラインまで信頼度が下がると、勝手に隊を抜けたり、反乱を起こしたりすることもある。
そういう選択一つで話が大きく変わり、取り返しのつかない事になるかもしれないのだ。だがそれが俺をよりいっそう楽しませてくれる。
高鳴る胸を抑え、俺はゲームの世界に入り込んだ。
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