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「ひょっとして好きなの。
その、最中に泣いた女の子のこと」
「……」
だったらなんだ、
と答えたかったが。
これ以上自分の心中を
晒すのも頭に来るから、
思わず黙る。
「だとしたら、ちょっと驚いた。
お前、そういうの
興味なさそうだったから」
「……そういうの?」
「まあ、邦楽のロックだから
いいんだけど、
愛とか恋とか歌うわりにな。
どっかバカにしてんだろ。
そういうの」
「そういうふうに見えるのか」
「とりあえず、
バカと才能のないやつは
死ねって顔してる。
俺はそういうふうには思ってないけど」
「言ってること矛盾してねえか」
「バーカ。俺の思ってることと、
世間から見た感じと、
実際のお前は全部ズレてるだろ。
客観性の話だよ」
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