苦味は甘味の後味

11/38
前へ
/38ページ
次へ
  「ひょっとして好きなの。 その、最中に泣いた女の子のこと」 「……」 だったらなんだ、 と答えたかったが。 これ以上自分の心中を 晒すのも頭に来るから、 思わず黙る。 「だとしたら、ちょっと驚いた。 お前、そういうの 興味なさそうだったから」 「……そういうの?」 「まあ、邦楽のロックだから いいんだけど、 愛とか恋とか歌うわりにな。 どっかバカにしてんだろ。 そういうの」 「そういうふうに見えるのか」 「とりあえず、 バカと才能のないやつは 死ねって顔してる。 俺はそういうふうには思ってないけど」 「言ってること矛盾してねえか」 「バーカ。俺の思ってることと、 世間から見た感じと、 実際のお前は全部ズレてるだろ。 客観性の話だよ」 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1212人が本棚に入れています
本棚に追加