苦味は甘味の後味

6/38
前へ
/38ページ
次へ
  空いてる椅子に腰かけて、 やつの手元を ぼーっと見つめた。 陣は俺の持ち込んだ 音源で独自の トラックダウン作業をしてみたり、 リミックスの素材にして 遊んでくれる。 できたものは仲間内の 耳や脳を楽しませるためだけに ささやかにばらまかれる。 表現に携わる人間は こうした遊びさえ 本業の方に還元されていくから、 やめられない。 仕事は仕事で、 ちゃんとやってるし。 「そういえば、 事務所変わったんだっけ?」 「ああ。和泉朱里の事務所」 「へえ、もうlucieidの独り勝ちだな」 「そうでもねえよ。会社自体小せえし」 「でかくする必要がないんだろ」 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1212人が本棚に入れています
本棚に追加