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陣の冷静な言葉に
軽く首肯し、
小さく流れてきた
自分の声に溜め息をつく。
「あのさ」
「うん?」
「やってる最中に女が泣くって、
どういう状況」
「……」
腕を組み、目を閉じて
俺の歌声の方に
聴き入ろうとしていた
陣の動きが止まった。
ゆっくりと
目を開けた陣は、
同時にじりっと眉根を寄せる。
「……お前、
いやがらせしに来たなら、
帰って?」
「じゃあそのUSB返せ」
「えええ」
手を出すと、
陣は首を振って抵抗した。
「ていうか、
お前の女ってあれだろ?
小説家の」
「違げぇ」
「え、懇ろな仲なんじゃ」
「付き合ってるわけじゃねえよ」
「ああ、そういうこと」
.
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