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朝倉・浅井との激闘から6年が経ち、天子も12歳となった。織田信長はその間に新たな城の築城に着手した。世に名高い名城・安土城である。城がようやく完成し天子は信長と共に安土城に入城した。
(信長)天子よ、ここが今後のわしらの住処じゃ。
(天子)はい、師匠
(信長)今日は家臣団一同が集まる。今後はそなたも軍に入り初陣に向けていく
(天子)御意
「御屋形様、一同お集まりでございます」
信長のもう一人の小性、森蘭丸だ。
(信長)うむ
天子と蘭丸は城の一室の障子を開いた。
(勝家)御屋形様のおなーりー
その場には重臣、柴田勝家に丹羽長秀に明智光秀、そして同盟相手徳川家康がいた。
(信長)みな大義である。
(みんな)はははー
(信長)浅井、朝倉、延暦寺などみなには大変な年が続いたが天下はすぐ目の前じゃ。
(家康)いよいよ、信長様の時代が来るときが来たのですね。
(信長)徳川殿も遠路かたじけない上に武田との戦の際には苦労をかけた。
信長の傍らに座っていると織田家臣の前田利家が来た。
(利家)殿、お市様たちが到着いたしました。
お市?
(信長)来たか
すると、部屋に美人の女子4人が入って来た。
(信長)久しぶりじゃの市
(お市)兄上さまも息災で何よりです。
兄?
すると、お市が天子の方をちらっと見た。
(お市)兄上、初めてお目にかかる者がいますね。
(信長)白銀家の嫡男天子じゃ、今はわしの弟子じゃ
(お市)そうですか。兄上のこと頼みましたよ天子殿。
(天子)はい
(家康)しかしお市さま、姫たちはまた一段と美しくなりましたな。
(お市)ありがとうございます。徳川様
姫たちとは歴史に名高い浅井三姉妹、茶々・初・江のことである。天子とはのちのち深い関わりを持つことになる。
(お市)兄上、あの者はおられぬのですね。
(信長)猿か?
天子はいきなり秀吉の名前が出て来たことが不自然に感じた。
(信長)猿は今、毛利攻めのために播磨におる。そちに会えないことを悔やんでおったぞ。
(お市)そうですか。わたくしは顔も見たくないですがね。私たちはこれで
場の空気が重く感じた。その後、天子は信長に尋ねた。
(天子)師匠、お市様は秀吉様が嫌いなのですか?
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