誕生した男

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(信長)ふっ、さようか 信長は立ち上がり床の間の刀をとった。 (信長)この刀をそちにくれてやる。そして今日よりそちは龍宜の宜をわしの信に変えて名乗るがよい 信長の側近、池田恒興が龍信と書いた紙を広げた。 (龍信)ありがたき幸せ 信長との会見を終えて龍信は常陸に戻った。 -3年後- 信長はついに動き出した。越前の朝倉家討伐の際に裏切った元同盟相手浅井長政を討伐すべく出兵した。世に言う姉川の戦いである。織田軍は4万の兵を率いて浅井・朝倉軍1万5000を討ち果たした。この戦いに置いて白銀家は大きな仕事を果たした。龍信は越後の上杉家、相模の北条家に赴き関越同盟を成立させ甲斐の武田家の上洛をけん制したのだ。この働きを織田信長は多大なる称賛をした。 (信長)白銀殿、此度はそなたに助けられた。 (龍信)めっそうもない (長秀)東国の大大名、上杉と北条を結びつけ武田の動きを止めるとは恐れいりました。 (龍信)織田家の古参の丹羽長秀さまにお褒めの言葉をいただき恐縮です。 (勝家)常陸殿がいれば東国の守りは固い、浅井、朝倉、門徒宗の討伐に力を入れられますな。 酒の席で柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、佐久間信盛ら織田家の重臣たちが龍信を湛えた。 龍信が常陸の城に戻ったら、3歳となった天子が元気に走りまわっていた。 (天子)父上、お帰りなさいませ (龍信)うむ、息災であったか (天子)はい父上 (龍信)天子、お主は白銀家の跡目を継ぐ男じゃ。だが天下は今だ乱れ続けておる予期せぬことが起ることもあろう。常に覚悟もって生きるのじゃぞ 龍信の言葉は現実となった。 姉川の戦いに勝利した以降、各地で反信長勢力が奮起し野田・福島で三好氏が挙兵した野田・福島城の戦い、それに呼応するように比叡山延暦寺、浅井・朝倉家が挙兵し近江西岸の城である宇佐山城を急襲した宇佐山城の戦いが続けざまに起こり、終いには大和の大名松永久秀が寝返る事態が発生した。
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