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目を丸くした美容師が驚きを隠さずに、「本気っスか? 」と言った。その目には隠しきれない期待と喜びが入り混じっている。
「そしたら、今季得点王になるやん! うわ、うわ、遠征チケット取ってて良かった! 」
すっかり素になって興奮している美容師に、「まだ取ってませんって」と、理紫が苦笑した。
「でも、応援に来てくれるんですね。ありがとうございます 」
けれど、美容師はハタと気付いた様に言う。
「でも徳井さん、次の試合アウェイですよ? 」
「……そうなんだよねー 」
軽く片目を閉じながら、理紫が少し困った様にへらっと笑う。
「えっ? それってどうにかなるものなの? 」
驚いて聞けば、「どうにかするしかないでしょ 」と笑う。
「でもさ、出来たらカッコ良いよね 」
片目を閉じて、いたずらっ子の様に言うから、海月もうんと頷いた。
すると、理紫が満足そうに瞳を細める。
「じゃあ、取るよ。3点」
不思議だ。大変な事の筈なのに、理紫が言うと本当のことになる気がする。理紫なら、やり遂げてしまう気がする。
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