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愛しげに、こめかみに触れる長い指先。 髪を絡めて後ろへ流すと、しなやかな動きで頬を包まれる。 上を向かされて、キスされると思ったが動けない。 いや、いきなりのことだったが、好きな男に求められて拒む理由もなかった。 心臓がドキドキして痛い程だ。 「サト…… 」 「……っ?! ところが、目を閉じて名前を呼んだ瞬間、突然ソファーから飛び起きた理紫にガバッと体を引き剥がされる。 両の手で掴まれる肩。 見開かれた瞳は信じられないモノを見る様で、さっきまでのあまい空気は一瞬で霧散していた。 「サト? 」 もう1度名前を呼べば、「ワリ…… 」と一言言って、今度こそ完全に体を離す。
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