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海月の表情がふわっと綻び、宝物を見るように瞳をきらきらさせる。
打算など何もない、煌めくような想いが伝わってきた。
「まだ、出回ってないからね。みぃちゃんだけに、特別よ 」
シッと、戸田が口元で人指し指を立てると、海月は慌てたように深くお辞儀をする。
「ありがとうございます! 」
大きなお団子が、頭の上で揺れた。
「ほら、早く行って! 」
促されて、今度こそクラブハウスを背にして走り出す。
「練習終わってたら、スタンド脇のグリーンフェンスエリアにいると思うから! 」
「はい!」
後ろから掛けられる声に、振り返ってもう1度お辞儀をすると、海月は貰った会報誌を抱き締めて、Aグラウンドへと向かった。
「……どんな絶世の美女でも敵わないってことよね、サト?」
海月が見えなくなり、残された戸田はポツリと呟く。
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