4*

13/39
前へ
/190ページ
次へ
大きなグラウンドは2つあるが、どちらがAグラウンドかは、すぐに分かった。 ピッチの周りは沢山の人だかりで、時折、歓声が響く。 海月はスタンドに上がる階段を登ると、急いで見やすい位置を探そうとしたが、思いの外、人が多くてピッチ内が見えない。 海月はぴょんぴょんとジャンプしてみるが、見えるのは一瞬で、何をしているかも、ましてや理紫がどこにいるかなんて、全然分からない。 そして、跳ねながら、ふと、海月は思い出した。 ……昨日もこんなふうだった気がする。 デジャブを感じて、眉をひそめた時だった。 「誰が好きなの? 」 「徳井 理紫……っ!」 いきなり聞かれて、反射的に答えながら振り向くと、同じ歳くらいの女の子達が5人程立っていた。 「やっぱりねーっ!!!」 女の子達は顔を見合わせて、笑いながら声を合わせる。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6396人が本棚に入れています
本棚に追加