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しっかりとメイクをしてスーツを着た戸田にくすくすと笑われて、かぁっと顔が赤くなるのが分かった。 恥ずかしさに、起こしてくれなかった理紫を少しだけ恨む。 「すっ、すみません。用意して下さってたんですよね?」 食べられなかった朝食に、海月が戸田へ謝ると、戸田が慌てたように言った。 「やだ、謝らないで。大丈夫よ、サトから、みぃちゃんの分は、朝食はいらないって断りは受けてたから。私は、もしかしたら昨日の件があるから、私の顔なんか見たくないと思ってるのかと思って。 」 心配ってそういう意味だったのかと、海月はぶんぶんと首を振る。 「そんなことないです! 私の方が自覚が全然足りなくて、理紫のことを色々と沢山考えていてくれている戸田さんに、申し訳なくて…… 」 そこまで言って、言葉が詰まった。 言いながら、申し訳ないの言葉の裏に、別の意味も含まれていることに自分で気付いてしまったからだ。 戸田の理紫への想いを知っている。これ以上言ったら、上からだと傲慢に取られてしまわないだろうか? ーーーごめんなさい。 海月は、声には出さず心の中で言った。 その謝罪さえ、自分の自己満足になるのかもしれないと感じたから。 戸田のような相手の方が、理紫に相応しいと分かっている。 それでも、海月は決めたのだ。 理紫に……、誰よりも大好きで大切な人に誓った。離れないって……。
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