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すると、身体を取り巻くように彼の腕がヒナの身体を優しく抱きすくめる。
だから、ヒナは「あ」と声を上げ、至近距離で彼を見上げた。
さっきまで閉じられていた琥珀の瞳がゆっくりと開いてその瞳にヒナを映す。
「ごめん、起こしちゃった?」
そう言えば、彼は琥珀の瞳を細めて優しく笑う。
「いや、もう起きる時間だから」
それが嘘だと知っているからもう一度「ごめん」と謝ると額に落ちてくるのは優しいキス。
「おはようの間違いだろ?」
そう口にして笑うから、ヒナは「おはよ、ヒロ君」とはにかむように笑った。
いつもの朝にいつもの挨拶。
すべてが「いつも」と変わらないように動き始める。
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