第25章 お披露目

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小さい頃、父と母が別れて以来ずっと頼れる人が欲しかった。 そして、心の奥底では振袖を買って欲しかったのかもしれない。 それはただ物を欲しいというのではなく、両親ともに揃った恵まれた家庭の子という象徴のような意味で欲しかったかもしれない。 それが得られないならば要らないと。 多分ずっと、心に穴が空いていたのだと思う。 振袖を買ってくれる父親。 社長は、その代わりだった。 ただ自分の隙間を埋めたくて、 愛して貰う代わりに誰の言う事でも聞いてしまう。 結果、自分を安売りすることに繋がる。 と、そんなことを社長は伝えたかったのかもしれない。
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