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しかし俺は走っている。論理とか理窟とかそういったモノを抜きにして、彼の我が儘を聞くというそんな身勝手な理由で。ボロボロの体で。もう感覚すらも残っていない右足を支えながら。真っ直ぐに走る事もままならなくなっていた。
彼がそんなに想っていた彼女を見てみたいという感情も勿論あった。
しかしそれは付加価値に過ぎず、彼の希望を叶えたい。本当にそれだけの事。
街中から聞こえる怒声と悲鳴。黒猫を追いかけ、叩く。地面に放り投げられると、ベチャっとボロ雑巾を地面に叩きつけたような音が深夜の街中に谺した。
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