K

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 俺は走り、空を切った。  小汚い風がスッと吹き、俺の視界を汚すと、比較的広めの道に出た。  道には背広を着たオッサンや、暇そうな学生くらいの人間がウロウロしていた。  しかしそんな事を気にしている暇は俺には勿論なく、何故かと言えばそれはたった今後ろに迫っている長い棒から逃れる為だった。  ドンッ  鈍い音と共に、後頭部に熱を感じた。  汚れた視界がクリーンになると同時に目の前には楕円形の白いチカチカが見え隠れしたが、それを気にせずに走り抜ける。  体格は俺よりも数倍大きいが、人間で言えば小柄だ。確認できたのは3人だけだが、声から察するに相手は5人はいるであろう事が想像できた。 「くっそ、何処行ったあの悪魔めっ!」  そう言いながら俺の隠れているゴミ箱の上に座ると、少年は答えを期待していない質問を叫んだ。 「何か飽きちゃったなぁ、次はカラスでも虐めない?」  別の少年がそういうと、俺の上からまた声がした。 「ばーか、カラスじゃ危ないし、苛めようがないだろ。やっぱ黒猫にしとくのが安全だって」 「でもさぁ、何で普通のネコ苛めると怒られるのに、黒猫だと大丈夫なんだろうな」 「知らねぇけど…、取り敢えず怒られないだったら良いじゃん」  そう結論をつけると、彼らはまた来た道を戻ると一度も振り向く事なくその場を去っていった。
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