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危なかった…。
今回ばっかりは死ぬかと思った。
そう思いながらゴミ箱から慎重に這いずり出て、同時に右足に軽い鈍痛と体中に切り傷が無数にある事に漸く気づいた。
切り傷は兎も角、右足の痛みは深刻のようだ。
熱を持ち、骨の芯が痛い。
右足自体の感覚は既にないクセに、痛みというか鉛を巻きつけたような気だるさがあった。
クソ…、何で俺がこんなメに…。
黒猫であるという事がそんなにいけない事なのだろうか。黒猫であるというだけで周囲の猫には一緒にいると虐められるという理由から爪弾きにされ、人間には追い回された。
俺は黒猫というカルマを背負ってから確かにまだ日が浅いが、それでもこの色がどんな意味を表すのかくらいは知っているつもりだ。
悪魔
憎悪
魔女
恐怖
畏怖
この俺という体に刻まれた意味は全てがそういった類のモノだった。
俺が出歩けるのは満月の晩だけだ。満月というのは光が多いクセに、何故かその時ばかりは人間は俺を恐れる。どうやら人間は満月の晩の俺が嫌いらしい。
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