K

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 俺の知らない所で俺は運命を定められ、このザマなのだから。  俺には箱を選ぶ権利すらもなく、箱選びのゲームにも参加できない。  生まれる前から仲間外れの自分を軽く揶揄し、俺は目を瞑る。  自分の体温が冷たくなっていくのを感じた。     重い目を開くと、其処は白かった。  しかし真っ白というよりは壁や天井が剥がれ、随分と安っぽい病院に運ばれた事を理解した。  薬のツンとした臭いが鼻をつき、嗅覚そのものを麻痺させているみたいだ。 「――足がヒドいな。骨が砕けてる。多分、何かで叩かれたか――」  そんな声が俺の耳に届いたのは、自分がどういう経緯でこうなったのかを思い出しかけた時だった。  足の痛みはまだ残っている。俺は動く事を許されなくなっていた。 「んで、この猫これからどうするんだ?処置しといてナンだが、保健所に連絡するんなら――」 「いや、コイツは俺が育てるよ」 「はぁ!?お前、自分の状況分かってんのか!?」 「流石に殺すわけにもいかないだろ?だったら俺が育てるよ」  そんなやり取りを虚ろな頭で聞きながら俺は抱きかかえられ、その部屋を出た。  最後に病院の男が呟いた「もう友達も俺しか残ってないってのに」という言葉が、どういうわけか俺の耳に残って離れなかった。
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