K

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 そうして彼と暮らす事になったは良いが、彼の生活水準はいっぱしの人間の基準を知らない猫である俺から言っても最悪に等しいモノだった。  食事なんて大層なモノとは程遠く、全てが自給自足。といえばまだ聞こえは良いが、粗末なモノだった。  勿論その中で俺という小さいながらも大きな同居人を迎えた事に俺は疑問を覚えると共に、あの時病院で起こった経緯を完全に理解できたわけでは勿論ないが、彼が何かの事情で貧 乏な生活を送っている事だけは理解できた。  そして彼の職業からその“何かの事情”も判明する。  彼は画家で、絵の題材が普通の画家から比べると個性的なモノばかりだったらしい。  見えざる絵を描いたり、存在しない筈の絵を描いたりしていたようだ。比較的裕福だった時期もあったようだが、今はその面影すらもなくなっている。  そんな昔の事を話す彼の横顔はとても輝いていて、自分のミスを滑稽に嗤い飛ばした。
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