私の嫉妬

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私にはあなたの本意がわからない。 あの子の前だと笑って、飄々として、お調子者で。 あの子がいなくなると黙って、ぶっきらぼうで、人を嫌って。 あなたの笑顔に惹かれたのに。なんで私には笑ってくれないの。なんで私には冗談すら言ってくれないの。どっちのあなたを信じればいいの。 半信半疑のこの気持ち。これをあなたは何て名付けるのでしょう。愛。恋。憎しみ。嫉妬。それとも。 嗚呼、あなたが愛おしい。あなたが憎い。あの子が憎い。今すぐ私からもあなたからもどこからも消し去ってしまいたいぐらい。 でも、直接言うことはできない。遠くから、後ろから見つめることしかできない。 私は影から見ることしかできない。あの子は太陽。私は闇。あの子は光。私は影。あなたの後ろで見つめることしかできない哀れな影。月になれなかった悲しい闇。太陽の光に怯える弱い陰。 今日もあの子の前であなたは笑う。私はそれを影から見つめる。 口の中に鉄の味が広がった。
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