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どうしよう。
この場合、自分は一体どう対処したらいいんだろう。
ゼンさんと視線を合わせる事が出来ず、顔を真っ赤に染めたままふらふらと目を泳がせる。
どうやらゼンさんは俺を解放してくれるつもりはなさそうだ。
なら俺は、この体勢のまま何をしたらいいんだろうか。
「…………悠之介」
「ーーッは、はいっ?」
ビクッと身体を震わせながら飛び出た声はやたらと大きく、ゼンさんは一瞬目を丸くした後微かにその頬を緩めて見せた。
ああ。
近い。
近いよ、ゼンさんっ……。
「…………なぁ、わざとって分かってるだろ?」
ーーーーーーッ、
グッと太ももの付け根へそれが押し付けられ、ゼンさんの言葉を瞬時に理解した俺は泣きそうな気分でその目を見返す。
ゼンさんがちょっとばかりエッチな大人だっていうのは分かってる。
…………いや、ちょっとじゃなく、それなりに…………うん、なんだか、かなり。
うん、かなり、だ。
だから、この動きが何を示しているのかは明白だった。
「…………ゼ、ンさ……ん……」
「ああ」
低く深みのある声で短い返事をしたゼンさんは、俺のうなじへ右手を軽く添えゆっくり自分の方へ引き寄せた。
う、わ。
ちゅ、と小さくリップ音を立てた唇が、まるで啄ばみ遊ぶように下唇を甘噛みして来る。
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