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「今日も忙しかったねぇ、悠之介君」
「はい、お疲れ様です」
いつも忙しい時間帯が過ぎれば、俺も知世さんもホッと一息つきながら缶コーヒーを片手に談笑をしたりする。
今も知世さんに奢ってもらった缶コーヒーを飲みながら、知世さんと世間話に花を咲かせていた。
「今日も病院行くんでしょ?」
「今日はね、娘が行ってくれるからいいのよ」
「娘さんですか?確か和歌山に住んでるんですよね」
佐竹さん夫婦には子供が二人いて、娘さんは三十歳前後だった気がする。
結婚して子供も産まれたらしいが、こちらに帰って来ているんだろうか。
「そうよ、和歌山。今日から三日ほどこっちへ帰ってるのよ」
「良かったじゃないですか。店長も嬉しくてきっと元気になりますよ」
「だと良いんだけどねぇ……」
ふと知世さんの表情が陰り、内心俺の心は過敏に反応してしまう。
何か、悪いことでもあった?
聞いていいのか分からずいると、そんな俺に気付いた知世さんが苦笑いをこぼしながら言葉を足してくれる。
「ちょっとねぇ、あの人、リウマチが出て来たみたいなの」
リウマチが。
知世さんの表情を見る限り、あまり良い状態ではなさそうだ。
そう思うと、胸の奥がギュウッと苦しくなる。
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