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僕は、直ぐに結界から外に飛び出した。
一番恐れていたことが起きたんだと直ぐに判った。
「ガム君!急いで君の左手首の魔道具を外しなさい!急いで!」
僕の慌てた様子に、全く慌てた様子もなく落ち着いた様子で言うガムは危険を感じていないのだろう。
「何をそんなに慌てているんですか。おかしいですね」
僕の事を笑うように何時もよりも速い速度で魔力が補填される事に、眉を寄せつつも笑うガム。
再び魔力を強引に纏め上げて、大きな魔法を放とうとするガムに、僕は怒鳴った。
「止めなさい!命が惜しくないんですか!さっさと、外しなさい!これ以上は無茶です!
早く外さないと貴方は死にますよ!」
僕の言葉に、訝しげな表情になるガム。
「何を慌ててるんですか。馬鹿馬鹿しい」
そう言って鼻で笑うようにしながら、再び強い魔法を放ってしまうガム。
その魔法は、風の魔法で、周囲の燃えてる樹々の炎も巻き込んで、大きく燃え上がりサイクロプスを、大きな炎で包み込んでしまった。
サイクロプスは、大きな悲鳴を上げるも巨大な炎の柱となった魔法は、見る間にサイクロプスを焼き尽くして真っ黒な消し炭へと姿を変えさせてしまった。
女性達はあまりの光景に悲鳴を上げるも、ジェムは、唇を噛み息を飲む。
確かに魔力切れではないかと思われる素振りをして居たはずなのに、僅かな時間で再び放った強い魔法に、唖然としていた。
普通はあり得ない光景。だが、その中で悦にいった様子で仁王立ちに高笑いをするガムと、慌てる様子の僕に困惑していた。
「だから、手遅れになる前に、早く外しなさい!」
加速度的に補充速度の上がって行く魔道具に僕は慌てる。
ガムは、全く慌てることなく僕をあざ笑うように益々嫌な表情になって言うガム。
「貴方は何を仰ってるのですか。私が、貴方の予想よりも遥かに強かったから、慌てているのではありませんか?騙せるとでも思ったのですか?全くもって、くだらない偽物ですね。
正直に姿を現したらどうなんですか!」
吐き捨てるように言うガムの様子に、女性達ももしかしたら、僕が偽者なのでは?っと疑い始めた。
僕は魔力の流れを見ながら言った。
「そんなのは、どうでもよいんです!とにかく、急いで外して下さい!早くしないと、鬼化が始まってしまいます!取り込まれれば助からないんですって!だから、外して下さい!」
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