バル森でファイヤードラゴンのはずが・・・・・・・

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「もう!だから、私達に構うなって言ってるじゃんか!」 大きな声で怒鳴るのは、シリル。 「何を言ってるのかしら。ガム様が折角手を貸して下さるって仰ってるんじゃないの!何の不満が有るって言うのよ!」 シリルを怒鳴りつけるのは、如何にも貴族然とした女の子だった。 「ガム様の力なら簡単に依頼を解決出来るわ!貴女だって楽が出来るんじゃないの! 何故、畏れ多くも断るのよ!」 別の女性もシリルを怒鳴る。 「煩いな!お前等には関係ねえだろうが!私はジェムと一緒に依頼を受けてるんだって何回言ったら判るんだ!」 シリルの言葉を鼻で笑うようにして、女性達は言う。 「何を仰るのかしら。そんな田舎者の、平民が無事に生還出来るとでも思ってるのだったら、貴女もおめでたいわね」 「第一、ガム様に声を掛けて誘っていただいて、断るなんて考えられないわ!」 「そうよ!ガム様は、あの英雄の子孫なのよ!」 「その素晴らしさが判らないなんて、どうかしてるわ!」 そう言って怒鳴ってくる彼女達にシリルは、大きな溜息をついた。 「だから、そんなのは関係ねえって言ってんだろうが!私は、ジェムと受けた依頼なんだ! あんた達はあんた達でヤれば良いだろ!こっちを巻き込むな!迷惑だ!」 そう強く言い放ったシリルに、怒りに震える様子で言うのは、女性達。 「な・・・・・・何ですってえ!この、平民の癖に、何て生意気なの!」 「許せないわ!許せるもんですか!」 彼女達はそう言って、魔力を纏めて攻撃をしようとし始めた時だった。 「ちょっと、待ってよ。君達」 声を出したのはガム。 途端に頬を染めて、ガムを見つめる女性達。 「ガム様~。酷いんですのよ~。折角ガム様が、お誘いの声を掛けて下さったのに、お断りするなんて、信じられない!あり得ないわ!」 「そうよ!ガム様のお役に立てるかもしれないんですもの。喜ぶべきだわ!」 彼女達はそう言ってガムに縋りつつ、シリル達を睨みつける。 「まあ。そう怒らないであげてよ。きっと、シリルは恥ずかしがってるだけだから」 そう言ってシリルを優しく見つめて言うガムに、シリルは、怒りで顔を真っ赤にして言った。 「あ、あんたは、一体どんな耳をしてんだい!私は、絶対にあんた達とは行かないって言ったんだよ?それの何処に恥ずかしがってる要素が入ってるんだよ!ふざけんな!」 そう怒鳴るシリルに、楽しそうに笑うガム。
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