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「そんなに恥ずかしがる必要は無いと思いますよ。貴女と一緒に居たいと思ってる彼には申し訳ありませんが、貴女と一緒に居るには力不足でしょう。
彼と居てもきっと、依頼を消化出来ないと思いますよ。
だったら、私と一緒に参りませんか?彼女達も協力してくれますし、容易く依頼はこなせるでしょう?
私達は、人数も多いですが、皆強いので既に依頼は五つ終了しましたよ」
ガムの言葉に驚くシリルとジェム。
「え?まだ、数日しか経ってないのに?」
思わず声を出したのはジェム。
嫌そうに眉を寄せてガムは言った。
「平民の癖におこがましくも魔法使いになんか慣れっこないのに、貴方はいい加減で諦めて村に戻っては如何ですか?
彼女の事は私に任せておけば良いですから」
そう言ってにっこり微笑むガムを睨んでジェムは言った。
「は?悪いけど、俺は諦めるつもりは、欠片もねえぞ?先生に退学との引導を渡されるなら別だけどさ、何で同級生のお前に引導渡される必要が有るんだ。お前は教師じゃねえんだからな」
ジェムの言葉にクスクスと笑い出したガム。
「嫌ですねえ。平民で田舎者の貴方に才能の欠片も無い事ぐらい私でも判りますよ。
貴方が恥をかく前に、引いた方が良いですよと助言をしているだけなんですがねえ」
はあ・・・っと溜息混じりに言ったガムに、怒り心頭と言った様子のジェム。
「ふん!ふざけんな!シリル!こんな奴、相手にするのも馬鹿馬鹿しい。
こっちの話を全く聞かないんだからな」
ジェムが、吐き捨てるように言うと、大きく頷いてシリルも同意する。
「うん。私もそれには、同意だな。こいつらと話しても時間の無駄だ。行こう。目的地迄、後少しなんだ」
そう言って踵を返して目的地に向かおうとしたシリルの腕を掴んだガム。
「だから、シリルさんは、こちらに来て下さい。
貴女は、彼と居るよりも、私と一緒の方が安全に依頼を達成出来る筈ですよ」
そう言って強く引き寄せようとするガムに、嫌そうな表情をしてガムを睨みつけるシリル。
「離せって言ってんだろうが!私は、ジェムと依頼を達成すんだよ!お前等は、そっちで勝手にやれば良いだろ!私を巻き込むな!」
そう怒鳴ってガムの手を払いのけようとした時だった。
シリルは、急に身体が痺れてガクンっと力が抜け、膝をついた。
「う・・・・・あ・・・・・・」
呻くシリルに、満面の笑顔を向けるガム。
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