133人が本棚に入れています
本棚に追加
僕の言葉に、慌てた様子で炎の向こうを透かし見ようとするガム。
感知は・・・・・・出来ないようだな。
今の大きな魔法で魔力の大半を使ったようだな。
全く後先を考えていない事が良く判る。
肩で息をしているガム。
その時、炎の向こうで大きく動く気配がして、サイクロプスの持っていたと思われる棍棒が勢いよく飛んできた。
「ひい!」
慌てて転がるようによけるガム。
棍棒は結界に当たって大きく跳ねて後方に飛ばされて行った。
結界の中に居るジェム達は、一瞬不安そうな表情になるものの、僕の作った結界が全く揺らぎもしなかった事に驚きながら安堵の表情を浮かべる。
僕は、慌てて逃げたガムの様子から目を離していない。
さっきの魔法は本当にガムの殆どの魔力を使い果たしてしまったのだろうと、見て取れるほどに苦しそうに顔を歪め荒い息をついている。
その様子を見てサイクロプスは、喜びの雄叫びを上げる。
当然だ。相手が明らかに弱り、大きなダメージを負っていると感じ取れたのだから、当たり前の反応だろう。
すると、ガムが怒鳴って来た。
「貴方は、一般の人を、見殺しにするつもりですか!貴方が、本物のフリーダム様ならば、こんな魔物、一瞬なのでしょ!証明して、見せて、下さいよ!私は、無理なんです、から!」
サイクロプスが、殴りつけて攻撃をしてくるのを必死に躱していきながら、僕に文句を言い出したガム。
「これは、貴方の依頼では無いのですか?」
僕の言葉に、悔しそうに顔を歪めるガムは、僕に向かって怒りに満ちた様子になる。
「な!協力者を得てはならないとは、なっていません!」
僕は溜息をついて言った。
「僕が倒したのでは、協力者ではありませんよ。討伐者になってしまいますよ」
僕の言葉に、怒りの様子のままに言って来るガム。
「く!ふん!貴方、なら、弱らせる事くらい、簡単でしょ!フリーダム様を、名乗るんです、から、だったら、問題は、無い筈です!」
それって、屁理屈って言うんだよ。次に同じ依頼が有ったら、どうするんだよ。
一度でも結果を残せば、それは実績とみなされ次の討伐の依頼の難易度は格段に上がるんだよね。
それは非常に危険な事だって判らないのかな。
僕がそう思った時。
それは、巻き起こったんだ。
最初は小さな光が、ガムの腕で光った。
次の瞬間、大きな魔力のうねりが巻き起こったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!