第一章 恋心

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昼休み。 それは学生にとって、天使のような存在であり、唯一の救済システムである! 授業という束縛から解放された学生達は校庭で体を動かしたり、教室で友達と駄弁ったりしている。 一日の折り返し地点と言っても過言ではないこの時間。 俺は昼食を摂っていた……。 涼香と九美の三人で……。 「で、その時はどうするんだ?」 「却下です。即、契約を打ち切りますわね」 「ふ~ん。じゃあお互いに利益があった場合はどうするの?」 「相手が利己的価値観しか持ち合わせていない場合は却下です。私は自身の為にしか動かない大企業より、傘下の者の事をしっかり考えている方々としか契約を結びませんわ。全員ではありません……ですが、事実中にはそういう人達がいますわ」 学生、昼休み、昼食。 更に言うと、男子と女子。 学生の華のような展開のハズが、何故か会話は経済関係の事になっていた……。 まぁ九美から色々聞けて勉強になるし……。 っていうか、学校の先生になってほしいレベルだ。 全授業、全科目を九美が指導した場合、どうなるんだろう? 偏差値は全国1位になったりするのかな? ……いや、なるんだろうな。九美の場合……。 「じゃあもし、私達が何かを始めたら助けてくれるの?」 「当然ですわ。何から何まで支援させて頂きますわ」 「それは凄いわね……でも、何だか悪い気がするわね」 「ふふふっ、ですから支援するのです。涼香がそういう人だと理解しているからこそですわ」 そんなこんなで昼休みは三人で経済界の事について語りあった。 午後の授業。 10が月も下旬。 それが呼び寄せる風は冬の到来を確認させるかのように冷たく、窓から降り注ぐ日差しはいつもより明るく感じる。 校庭に見える草木も少しずつ枯れ始め、少し前まで緑に染まっていた校庭がどことなく寂しく見えた。 食欲の秋。 読書の秋。 スポーツの秋。 秋を代表する言葉は色々あるが、そんな中で俺は恋に染まっていた。 昼休みを終えると、勿論授業が始まる。 すると勿論、俺の気が逸れ、集中力が持たない。 すると勿論、思うのは涼香の事。 何かをしていないと、頭の中では涼香の事しか考えられないようになっていた。
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