450人が本棚に入れています
本棚に追加
朝。
肌寒い朝。
布団が恋人。そう思える朝。
10月もあと少しで終わる。
冬と呼べるであろうこの寒さを前に、俺は布団からなかなか抜けられずにいたが、腹の減り具合には勝てず、ゆっくりとリビングに向かっていく。
朝食にパンと牛乳を用意した俺は何気なくテレビを点け、それらを口にしながら視線をテレビへと移す。
するとそこには連続恋愛テレビドラマが、大人気放送中と大きな見出しで画面を彩り、主演男優、女優の二人が番組のアピールをしていた。
恋愛……。
どうしてもその言葉に反応してしまう……。
自分の気持ちに気づいたとは言え、涼香に対して平常心でいられるだろうか?
そもそも涼香は俺の事をどう思ってるんだろう?
それは気になって仕方がなかった。
少しして朝食を摂り終え、俺は学校の支度をした後に、寒い風を全身に浴びながら家を出た。
肌にあたる冷たい風は地獄から吹いてきてるんじゃないかって思えるぐらい冷たくて、手袋をしているのにも関わらず手が凍ったように硬くなってしまった。
足先も感覚が麻痺してしまい、俺の全身は早くも暖を求めていた。
そんな時、前に涼香の姿が見えた。
「あっ」
俺も単純で馬鹿だと思った。
涼香を見ただけなのに何故か嬉しくなって、気持ちが上がって、カチコチになっていた身体機能が全て元通りになってしまうんだから。
まぁ、そう思うだけで本当は冷たいままなんだけどな。
俺は涼香を発見した後、少し駆け足気味で涼香に接近していき、後ろから声をかけた。
「よう、涼香。おはよう!」
「……」
因みに途中で滑り転げそうになったのは内緒だ。
俺が涼香に声をかけるや否や、涼香は表情1つ変えず、ただ俺を視界に捉えた後に正面を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!