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「……」
あっれ~? 俺何かしたかな?
涼香がこんな態度を取る事は珍しい事じゃない。
と思うが実際のところ、こんな涼香を見るのは久しぶりだ。
何だか素っ気ないような、気力が抜けているような。
そんな感じだ。
「……」
「……」
隣に肩を並べて歩く俺達。
その間に会話は一切なく、ただ学校への距離が近くなっていくだけだった。
何か話そうと思っても、変に涼香を意識してしまってか、この場に相応しい話題を見つけられない。
それどころか、逆に話しかける事で会話が続かなかったとする。
すると俺達の間には更に気まずい空気が流れるだろう……。
それだけは勘弁だ。
と、思った矢先。
「ねぇ……」
なんと涼香の方から声をかけてくれた。
やっぱり俺達は日頃から死線を潜り抜けてきた家族なんだ!
言葉が無くても通じるものがあるんだよ!
解ったか!!
と、誰に言うでもなく自分の胸中で叫ぶ俺。
「何だ?」
しかし俺は素っ気ない声に素っ気なく返事してしまった……。
だあああああ!!
何やってんだよ俺!!
こんな返事じゃ涼香の気分も晴れねぇだろうが!!
って別に気分が曇ってるってワケでもないけど!!
自分の言葉とは裏腹に涼香の言葉に一喜一憂し、勝手にのた打ち回っている俺を他所に涼香はポツリと言葉を紡いだ。
「アンタ……好きな人とかいないの……?」
「…………ふぇ?」
その話の内容は、意図も簡単にこの場の空気を凍らせた。
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