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戴冠式から十数年、激化する戦争
『人間』側の勇者の出現、『半人』の反乱、しかし
「魔族は変わらない」
そっと呟く
「またこんなところにいる!」
下から声がする
「一人にしてくれ」
今、どこにいるかって?
山の大樹の上
「あんたがいないと会議が進まないじゃない!」
「お前がやれよ、次期魔王」
「え?次期魔王はあんたじゃないの?」
「そうだ、こいつ馬鹿だった」
「馬鹿?なんで?」
「いや、なんでもないよ」
呆れながら樹から降りる
「なんかあった?」
「なんでだ?」
「ここに来るときは大体なんかあった時だから」
「そうでもないさ、考え事してただけだ、行くぞ」
「今回も頑張ろう?嫌われ者の軍師さん?」
前を歩く女性を見ながら、こう呟く
「頑張ることなんて無いだろう?戦争なんて」
子供の頃に憧れたリューカの騎士、その場所はあの時描いたようなところでは無かった
嫌われ者の種族の俺は上に上がるだけでも大変だった、汚い手を使い、泥をかぶり、敵を排除し、蹴落とし、リューカの隣まで這い上がった。魔王の娘の側近まで
「そろそろ動かすか…」
誰にも聞こえないように呟く
もう汚れてしまったのなら躊躇う必要はない、徹底的に汚れてやろう
「さあ、楽しい、楽しい戦争だ」
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