《第11章・繋がれた手…》

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【美和はコラムでもイケると思うのよ】 H高に両親と行き案内をしてくださった※※先生に菓子折りをお父さんが渡していた。 『この度は娘共々お世話になりました、結局断る事になってしまいすみません』『見学だけの時点だから良いんですよ、それより菓子折りをもらう訳には…』 『※※先生、断ってごめんなさい』 『娘もあぁ言ってますから菓子折りは受け取ってください』 『じゃあ職員みんなでいただきます』 ※※先生に手を振ってたら少し涙がにじみ罪悪感さえあった、ごめんなさい。 けど正門近くで私を突き飛ばした女子がいて視線を合わせないようにしていた。『また来たの?来るなって言ったでしょ!』 『………』 『無視する気!イケてないくせして生意気な!』 両親は何事かと女子を凝視したが美和が無言で促す為に、足早に車へと向かう。 車がH高から出る時、あの女子はホウキを振り回し何か叫んでいた。 美和は後部座席で振り返り女子を見て、行きたくない理由の1つにあの女子がいるからだと改めて思った。『掃除が好きでも私あんなふうにはなりたくない…』『何か言ったか?美和』 『ううん』 定食屋さんで少し遅いお昼を食べ帰途についた。 お父さんもお母さんも今日の為に休みを取ったみたいなの。 私がH高へ転校を決めれば寮生活の為に買い物をする予定で1日空けたんだって。 『美和、藤永さんの部屋に行くの?』 『うん、リメイク近いから少しずつ掃除したいから』『長谷川編集長さんからあれから電話あって、【松本さんも参加するから美和さんの才能をみてあげてくれませんか?】って言われちゃあね、松本さんがついててくれるなら長谷川編集長さんが責任を持たれるならって。 お父さんと2人で相談して承諾したのよ』 『私に内緒でそんな電話を…私の才能かぁ(笑)』 【美和はコラムでもイケると思うのよ】 『まさかぁ(笑)』 『藤永さんの仕事の迷惑にならないように気をつけなさいよ』 買っておいてくれてたらしいごみ袋と荷造り紐をお母さんから受け取り出ようとした。 『美和、甘い物が必要だろう』 お父さんからプリンを渡されおかしくて笑った。 『うわぁ~…』 『ごめ~ん』 松本を避けていた頃に掃除に行ってはいたけど、そのやり取りで物語っていた。『頑張るしかない』 『サイン会で美和ちゃんをうんとプレゼンしちゃうから』 『私目立ちたくないからサイン会なんて客席で見てるよぉ』
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