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「いったぁあああい!」
真っ白な部屋にピンクのベッド。
私はそのベッドの上で開脚しながら叫んでいた。
……こんなにも陣痛が痛いなんて。
ここは産婦人科の分娩室。
助産師さんと医者、そして立会い出産を希望した夫が見守る中、もう間もなく私のおなかの中から赤ちゃんが誕生しようとしていた。
「いたい!ぎゃああ!痛いよぉお!」
1分間隔で強弱をつけながら迫りくる陣痛。
この痛みを例えるなら、重い生理痛の10倍の痛み。
男性にでもわかるように例えるなら、膀胱あたりに特大漬物石を3つくらい詰め込んだような痛みだ。
伝わりにくかったかもしれないが、とにかく私は額から脂汗を垂らしながら、全身に力を入れながら激しい痛みと戦っていた。
「大丈夫!こういう時は
“ひぃ~、ひぃ、ふぅ~”って息するんだ」
私の手を握りながら、夫がアドバイスを投げかけてくれる。
それを聞き、朦朧とする意識の中、必死で呼吸を整えようとする。
「ひぃっ!ひぃっ!
……ひぃいい!!いだぁぁあい!」
そんな余裕、あるわけない。
無理です。無理無理。
「違うよ。落ち着いて!
こうやって、ひ~・ひ~・ふぅ~」
痛くもないのに、隣でひょっとこ顔で説明する夫。
「出来るか、ぼけぇええ!!」
夫はしゅんとしていたが、その顔もたまらなくウザかった。
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