10.

11/40
前へ
/40ページ
次へ
自分だったら…、考えてみて怖くなる。 諦めきれる訳ない…。 ずっとずっと好きで、離れても、忘れることなんて出来なかったから。 菜花だって、諦めなかったからこそ、今、稜雅先生の隣に居られてる。 「でも、でも…」 揺らいだ海月の心を感じ取り、緒川が柔らかく諭すように笑いかけた。 「あのね、好きな人に好きだって言うの、結構勇気いるんだよ?しかも、叶わないかもしれない想いなら尚更…ね」 だから、あんまり冷たくしないでよ…と言われてしまえば、今度こそ海月は何も言えなくなってしまう。 黙ってしまった海月に、菜花はわざとらしく頭に手をやると首を振った。 「海月ぃー…。勘弁してよ、緒川の口のうまさに流されてんじゃないわよ?」 「……全くだよ 」 その後に続く、菜花ではない大仰なため息。 え…っ! 「ほんっ…と、海月、油断も隙もあり過ぎ…」 聞こえたのは、信じられない…というような呆れた低い声。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

505人が本棚に入れています
本棚に追加