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自分だったら…、考えてみて怖くなる。
諦めきれる訳ない…。
ずっとずっと好きで、離れても、忘れることなんて出来なかったから。
菜花だって、諦めなかったからこそ、今、稜雅先生の隣に居られてる。
「でも、でも…」
揺らいだ海月の心を感じ取り、緒川が柔らかく諭すように笑いかけた。
「あのね、好きな人に好きだって言うの、結構勇気いるんだよ?しかも、叶わないかもしれない想いなら尚更…ね」
だから、あんまり冷たくしないでよ…と言われてしまえば、今度こそ海月は何も言えなくなってしまう。
黙ってしまった海月に、菜花はわざとらしく頭に手をやると首を振った。
「海月ぃー…。勘弁してよ、緒川の口のうまさに流されてんじゃないわよ?」
「……全くだよ 」
その後に続く、菜花ではない大仰なため息。
え…っ!
「ほんっ…と、海月、油断も隙もあり過ぎ…」
聞こえたのは、信じられない…というような呆れた低い声。
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