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まさか……。 でも、そんなこと有る訳ない。 どくどくと騒ぎ出す心臓。 しかし、そう思いながらも信じられない気持ちで振り向くと、上着のフードを目深に被り、パーテーションの上で組んだ腕に顔を乗せた、本物の理紫がすわった目で、ジィー…っとこちらを見ていた。 「理紫っ?!」「徳井っ!!」 どうしてこんな所にいるのっ!!! 「あれー?やっぱり知り合いだったの?」 パーテーションの影から、ヒョコリと奥山も顔を出す。 「奥山っ!どうして徳井といるのよっ?」 「えー…っと、校門のところで拾ったイケメン?」 奥山が小首を傾げて、ニコッと笑った。 「だからっ!そういうことじゃなくて…っ!」 「…俺が、図書館どこにあるかって聞いたら、親切なその子がここまで連れて来てくれたんだよ」 理紫も、パーテーションに手を付いたまま、向こう側からこちら側に回ってきた。
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