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「…お前に言われなくても分かってんよ」
緒川の方は見ずに、樋口はこちらに近付いて来て、神妙な面持ちで海月の前に立つ。
「吉村…」
思わず顔を強ばらせてしまった海月を見て、樋口は少し目を見開くと、淋し気に小さく微笑う。
「怖がらないでよ…。吉村が嫌なことは、もうしないようにする」
そして、突然に潔く頭を下げた。
「吉村の気持ちを考えないで、あんなことしてごめん!」
「樋口くん…」
一瞬、海月は、樋口が気持ちを理解してくれたのかと思った…、けれど。
「キスしたことは後悔してない。でも、吉村を泣かせたことは後悔してるから」
「……?!」
「ちょっと、樋口…っ!」
微妙に違うニュアンス。
それは、まだ分かってもらえてないということ?
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