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理紫は、海月が理紫の視線から隠れて下着を付けるのを見ない振りをして待つと、フワリ…とブラウスを海月の肩に掛けて袖を通させる。
「流石に古山さんも、もう気付いてるだろうから、謝ってから出掛けないとね 」
1つ1つ、釦を嵌めてくれる理紫にされるがままになりながら、その器用な長い指先を見つめた。
どうして、こんなことまでしてくれるのかと、以前にも尋ねたことがある。
けれど、理紫は『みぃちゃんに、かまいたいんだよ 』と言って笑うばかりで……。
理紫は、本当に自分に対してあまい。
このままだと、トロトロに甘やかされて、理紫がいなければ何も出来ない子になってしまいそうだ。
「……はい、出来た 」
「ありがと…… 」
微笑む理紫に、海月が小さくお礼を言うと理紫は「どういたしまして 」と笑みを深くする。
海月は、蕩ろけるような笑顔を正面から受けてしまい、跳ね上がる心臓を押さえて俯いた。
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