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そんな海月を見た理紫が見開いた瞳をすぐに細めて、自分の口元に拳をあてる。
その時、海月はまたやられたと思った。
「ひ…ひどいっ、私はこんなにドキドキしてるのにっ! 」
「俺だって、ドキドキしてるよ? 」
「うそっ! 」
堪え切れなくなった理紫が、くっくっ…と笑いだすのを聞いて、さっきとは違う意味でカッ…と顔に血があがった。
「こ、ここは、理紫の仕事場も一緒だから、これ以上こんなことしてるの誰かに見られたらって……、だから私はっ! 」
「はいはい、 じゃあ今んとこはみぃちゃんの言う通りにしますよ 」
逆手に持った荷物を肩に掛けて、振り向いた理紫が逆光の中、綺麗に笑う。
夕陽の中、トロリとした微笑みは、本当に蜂蜜のように甘くて、海月は「知らない… 」とそっぽを向いた。
【〈はんぶんの月 2〉おわり 】
※はんぶんの月〈3〉【無料】に続きます。
表紙にリンクを貼ってありますので、宜しくお願いします!(*^^*)
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