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白い大理石の床に青い曼荼羅模様の絨毯が敷かれ、その上に黒い何がしかの素材でできた10人以上座れる程のテーブルが広がっている。ここからだと右手の天井にある開かれた出窓から例の炎の人々の苦悶したスレンレスアートが見え、色とりどりの影を丁度テーブルに落としていた。
火李奈の座っている位置は館の主人の席だ。一番奥で一人、金色の蛇や花の描かれた椅子でチョコンと座っている。幹明は火李奈の側で何の肉なのか分からないが甘辛いスパイスの効いたローストビーフを口の中に目一杯詰め込んだ。味わう暇もなくガツガツ食らいつく。飢えがもっと欲しい、もっとだ、と鬼気迫って幹明の理性を失わせた。
火李奈は目は笑うことなく、唇の端を歪ませた。
「お兄様、お気に召されましたか?この肉は今日、取って来たばかりのものですの」
幹明は我に帰って火李奈をボーッと見つめた。肉の中にアルコールでも入っていたのだろうか?頭が朦朧とする。
「何の肉なんだ?火李奈」
火李奈の笑みはやはり純粋とはかけ離れていた。
「今はお兄様にお知らせできることではないわ。お兄様にもきっと分かる日が来る」
黄金の瞳が異物を観察するように幹明を捉える。
「お兄様、服に肉汁が付いておられます。後で洗濯しましょう」
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