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これは格別だ。最高の品だ。使わない手はない。何者にも邪魔させない。愛おしい。渡さない。何があっても守ってみせる。
これは地獄だ。何もかもが狂っている。何故、狂人は正常であろうとしてただのアーティストが狂気をネタにするのだろう。こんな世界はお終いだ。俺が消えれば宇宙が消える。俺は一つの宇宙の創造主で人間モドキをいくらでも創造できる神のような存在だ。崇めろ。祟れろ。畏怖して跪くがいい。
「お兄様。どうなされたのです?」
「いや、夢を見ていた。内容は忘れたよ」
気付けば火李奈が布団の中に潜っていた。幹明の寝間着をそっと脱がす。
上半身だけ露出させると、火李奈は甘いくちづけを施した。
「お兄様は私を呪わないと帰れないわ。早く、目が醒めるといいわね」
火李奈のネグリジェが透けて見え、幹明の鼓動と息が荒々しくなる。
思わず喘ぐと火李奈が下唇に噛み付いた。
痛みは快楽に変わっていく。
火李奈の目が残酷に爛々と輝いていた。
「もっと…」
幹明は哀願した。
「もっと下さい」
火李奈は牙を剥き出し、白い髪を振り乱しながら、獲物を前にした猛獣のように幹明の首に噛み付く。
幹明の目から涙が一粒溢れ落ち、一夜で無数の噛み跡を身体に刻んだ。
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