第1章

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土星と木星の間を語る地学者のように無意味で矛盾した混沌した空が地球を覆った。だが、それを見た人間はいなかった。 混沌は人の心にある邪悪なものだけを映し出し、人の誰しもが恐怖心と共に夢で片付けてしまえるぐらいちっぽけなものにしか関心を示すことはなかった。 宮葉幹明(ミヤバミキアキ)の両親はその夢に殺された。それ故、幹明は義理の姉と自称する紀平幸世(キヒラコウセイ)の戯言を信じ疑わず、歳を重ねた。だが、次第に増す姉のミステリアスな雰囲気に幹明は質問を投げかけずにはいられない。 「姉さんは何で俺と初めて会った頃と見た目変わらないんだ?」 「姉さんは邪神という人類には謎に満ちた神の助太刀人なのだ」 「てか、姉さん、本当に女?」 「邪神は女の方が美しい」 それもそうだ、と幹明は思った。男でも幹明のように冴えない男は着飾らないと自信の欠片もない。 幹明の髪の色は美しいブロンドでその内側の空っぽの脳を隠してくれるかのようだった。 幹明は昔から勉強が大嫌いだった。芋虫やムカデよりも何かを考えることを怖れていた。両親は深刻な顔で息子のIQの低さについて語り、失望の溜息を漏らした。
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