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幹明はむせ返りながら、答えた。
「別にいいぜ」
炎の人々が雷で照らされる。オレンジ色の炎が青味を帯びた。中心にいる人々を幹明はよく知っていた。
生首を皿に盛ったのは、火李奈だ。愛おしげに撫で回す。ネクロフィリアの気でもあるのかもしれない。
幸世は何の感情も出さないが関わらない方が身のため程度には把握していた。
幹明は火李奈から生首を没収した方がいいのではないか、と思考を巡らす。あまり気分のいいものではない。
死体は3人で担いで、食堂の入り口のホールの振り子時計の中まで持って来た。
暗闇が泳ぎ、冷淡とした禍々しい渦が、お化け屋敷の幽霊の呻き声のように音となって聞こえそうになる。ここにいるのが火李奈の肉体なら、ベッドの中の火李奈は偽物ということになるのだろうか?
俺はおぞましいものに調教されている?
それはそれで、興奮した。相手が自分より醜悪であれば、〝犯された〟という言葉が適用される。ただの少女の遊びではない。
「〝サッシャー〟」
ヌチャヌチャという音がする。
「肉よ」
火李奈は〝サッシャー〟に鳴海純一の遺体を明け渡した。
その瞬間、鳴海純一は消えた。
バキバキッ、グチャグチャッ。
沈黙が漂う。
美味しそうな肉料理が仕上がるのに時間はかからなかった。
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