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「今度、デートへ行こう」
幹明は人間の血を舐め、脳を眠らせていく。
火李奈がそっと幹明の手を包んだ。
「お兄様からお誘いだなんて夢みたい」
「俺、君程、可愛い女の子を見るのは初めてだ。それに正直、年上も同い年も怖くて仕方なくてな」
「私は怖くないの?」
「とてもとても怖い。甘美的な程にな。君に殺されるのは本望だ」
幹明は火李奈の手を解き、火李奈のサラサラとした髪をそっと撫でた。
「君と永遠を共にできるなら、俺の全てを捧げる」
火李奈は囁いた。
「可哀想な人。憐れでどうしようもなく可哀想な人」
2人共、甘い言葉を囁き合いながら、人肉を平らげた。
美味しい時間だった。
黄金の石が魔力源だと、後々、語られる。それは宇宙からの侵略者のようなもので現在の科学では推定されなかった。
〝サッシャー〟は黄金の石を体内に取り込んでいた。
それがどんなに危険なことか分かっていた。魔力は増すばかりだし、国からも目をつけられ始めていた。何より、火李奈が危ない。火李奈は破綻を望んでいるようだった。宮葉幹明、彼も無意識の内に破綻を望んでいる。
〝サッシャー〟はいつものように悲しげな顔で俯いた。どうにでもなるがいい。
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