第2章

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ジェットコースターに乗ると嬉々とする火李奈に対して、幹明は足をよろめかせたまま、チケット売り場の裏側にある中世のヨーロッパ風の柱にもたれかかっていた。今にも吐きそうだった。 「あんなものの何が楽しくて金払うんだ?」 火李奈が幹明の服を千切れんばかりに引っ張る。 「もう一度行きましょ、お兄様」 幹明の顔色は真っ青になった。 「死んじまうよ!」 「それがいいんじゃない。死ぬかもしれない恐怖……ゾクゾクするわ」 それに、と火李奈が幹明の様子を眺める。 「怖がるお兄様の顔、素敵」 幹明は苦笑した。 「だったら、うってつけがあるぜ」 一歩一歩、前進する。その度に少しの音さえ神経質になる材料になる。 少女の背後に張り付いているのは惨めな男だ。 幹明は足をガクガクと震わせていた。幽霊もUFOも信じていたし、それと同時にもし、出くわしたら真っ先に失神しようと計画を練っていた。気絶している間は何もしてこないだろう。ヤツらは大抵悪意を持ち合わせていない。面白半分でテリトリーを侵入しない限り、怒りに触れることはない。 青白い人形がいきなりケタケタ笑い出した。フランス人形だ。壊れている。 「あら、可愛いこと」 火李奈は平然とその人形を観察していた。
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