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幹明はガタガタ震えながら、涙目で火李奈の影に隠れている。
お化け屋敷を一度、女の子と一緒に来たかったが、何かが違った。
「お、お、俺が守って……やる」
火李奈が吹き出した。いつもの冷たさがまるで嘘のようだ。
「お兄様、罰を決めましょう」
言葉を続ける。
「先に入り口に着いた者はヌード写真を撮らせる」
冗談だろ?と幹明は我が耳を疑った。こんな少女が、男の裸を見て興奮するぐらい世の中変わっているのか?
「俺の負け確定してんじゃねえか……俺、火李奈のヌード写真なら、一生ものの宝物にするんだけどな」
火李奈は考えた。そして、ギュッと幹明に抱きつく。
「お兄様のお言葉に免じて、私がモデルをやるわ。好きに撮るといい、カメラマンさん」
幹明は幽霊の姿をした人に追いかけられても、死体のようなものに足を掴まれても、もはや上の空だった。火李奈の言葉は魔法のような力を持って幹明の思考回路を麻痺させる。もう何も怖くない。そう思った矢先だった。
「あいつ、気持ち悪くね?」
他にもいたカップルの女が幹明を指して、言う。
「あんな女の子のヌードのため、お化け屋敷とか、マジ最低なんだけど」
男も調子に乗った。
「ああいうタイプの男は絶対、中卒だぜ?良くてゲーマー。悪くてアニヲタ。これテンプレな」
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